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「SS」――東本昌平原作で2000年より小学館コミック誌「ビッグコミックスペリオール」にて連載されていた人気マンガ。
原作が終了してから数年の間、何度か映画化の話は立ち上がったが、実現には至らなかったという経緯がある。
それを企画・製作統括の吉岡市雄とプロデューサーの神子力が映画化へと奔走し始めたことで、本作の完成へ結実した。
「大人が読んで面白い、人間がしっかりと描かれながら車の取材も綿密にされている、これはぜひ映画にしたい!」と考えた吉岡プロデューサー。
「カー・アクション映画としての要素を残しつつ人間ドラマを描こう」という強い意志の基に映画化された。
見せどころのひとつとなるカー・シーン。ここにはCGが一切使用されていない。それもこの映画の注目部分だ。
「やはり生身の人間が走るという部分が大事なのでCGは一切使用していません。
邦画でこれだけしっかりライティングして夜に車が走っている映画は、恐らく今までないはず。
明け方まで、目一杯走っているので走る方は大変だったと思いますよ(笑)」
実際の撮影現場で具体的に苦労した点はどのような部分だったのか?
「毎日大変でしたよ。まず時間が足りないから早朝から夜中まで何かしらの撮影はしていました。
撮影していた時期は梅雨の走りの頃だったので、天候を毎日心配してました。
あと朝4時頃には明るくなってしまうので、そうなるとナイトシーンは撮影出来なくなってしまう」そうしたマイナス要因をプラスに作用させた部分もある。
「撮影できないほど霧が濃い日があったのですが急遽、車がシルエットになる画を撮り、冒頭のタイトルバックにしました。
あれは本物の霧なんですよ」厳しいスケジュールの中、一瞬たりとも無駄にしないプロの姿が感じられるエピソードではないだろうか。
劇中、台詞自体では語ることが少ないダイブツ、それとは対照的に狂言回し的役割で物語の背景を語る栗原。
このキャラクター分けはどのように意図されたのか?実際に演出を手掛けた小林義則監督は、
「まず男のドラマを描けることに興味があった。
原作の主人公・ダイブツは饒舌に語るキャラクターではないので、哀川さんにも映画ではあまり語らないような芝居をしてもらいました。
また勝ち組と称される栗原にはその対比として色々と説明役になってもらおうと」と説明。
重要なシーンとなるのは走り屋たちのタイムアタックの場面
。設定場所が箱根ということと、ナイトシーンが多い理由については?
「やはり道路を封鎖して撮影するには限度があるので、群馬のある場所でも撮影しました。
ナイトシーンの撮影は難易度が高いですが、それでも撮った理由は原作に沿ったのと、意図的にダイブツを“陰の男”として見せたかったから。
ダイブツは日陰でうごめいていて、最後には陽の当たる場所に再び戻っていく。
そういう絵を撮りたかったので、ラストシーンはまばゆいばかりの太陽があふれるようなシーンになっているんです」
映画は様々な人間たちの人生の対比が描かれていく。
「中心は5人の中年男性たちの話なんです。家族と共に夢を掴むダイブツ。
夢を持ちながら逆に家族から見捨てられ、一人でトラックに乗り走り去るブンブク。
色々な対比が映画の中では様々なアングルで描かれています。
そこには若者たちとの対比もありますが、中年男の持つ悲しみ、怒り、しがらみ、切なさ、喜びも出せていれば」
そうした監督の意図のもと、カー・アクション映画と謳いながらもいくつもの人間ドラマが自然に織り込まれている。
そしてそこには男たちの哀愁を含めた人生の再生ドラマが静かに熱く息づいているのだ。
最後に小林監督が一言。
「プロドライバーたちにドライビングしてもらっているのでCGは一切使用していません」
まさに男たちの本物のドラマがここにある。
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